エンタルピーについて
昨日、熱力学の講義でエンタルピーを定義したのだけれど、どうもその定義に必然性が感じられなかったので、自分なりに調べて解釈しまとめることにした。
できる限り簡単にまとめ、わからなさそうな言葉も説明を付することにする。
エンタルピーとは
エンタルピーHは
H=U+PV
(U:内部エネルギー P:圧力 V:体積)
で与えられる状態量。
内部エネルギーは気体のもつエネルギーだと思えばいいと思う。気体の温度が高いほどエネルギーは多い…みたいな。
ところが、突然こんなものを定義されても「何に使うんだよ」と思ってしまうのが人間。
以下はネットサーフィンと僕なりの解釈の結果なので、鵜呑みにはせずよく考えてほしい。
話は
定積熱容量 -> 定圧熱容量 -> エンタルピー
と進める。
定積熱容量
さて、熱容量とは「その気体の温度を1K上昇させるのに必要な熱」で定義され、単位は[J/K]である。
エンタルピーの定義の必然性は、定圧熱容量(圧力が一定の条件のもとで気体の温度を1K上昇させるのに必要な熱)を定義するときに生じるものなので、まずは熱容量から考えてみる。
定積熱容量とは読んで字のごとく、「体積が一定のもとで気体の温度を1K上昇させるのに必要な熱」だ。
体積が一定ということは、始状態と終状態の間で仕事は行われないので、熱力学第一法則より
ΔU = Qex
となる。Qexの添字"ex"は外から加えられたものを意味することとする。
加えられた熱と内部エネルギー変化は等しいということなので、定積熱容量は「1K上げる間に増加する内部エネルギー」とも読み替えられるため、その値Cvは
で定義することができる。
これは単純だ。内部エネルギーは「始めと終わりの温度だけで決まる」からだ(詳細は高校物理に譲るとする)。このような物理量を状態量という。
定圧熱容量
今度は圧力が一定の条件のもとでの話だ。熱力学第一法則より
ΔU = Qex + Wex
となる。これも高校物理の範疇だ。とりあえず熱容量を定義する上で知りたいのは加えた熱なのだから、この式を変形して
Qex = ΔU - Wex
としておく。
「じゃあ話は早い!定圧熱容量はこうやって定義できるんだろ?」
早い話、これがダメだからエンタルピーを導入することになる。
仕事は回り道をする
さて、なぜ上の式では定圧熱容量が定義できないのだろうか。これには、上で少し顔をのぞかせた「状態量」がキーワードになる。
仕事は状態量ではないのだ(ちなみに熱も)。
温度T1からT2に変化させるとき、仕事の加え方は一意には決まらない。そのため、仕事の過程ごとに総仕事量が変化してしまう。
すると、上の式では仕事の過程ごとに熱容量の値が変わってしまうことになる。
それがマズいのだ。
状態量で書き換えよう
じゃあ何をするか。状態量で仕事を置き換えてしまうことだ。そこで登場するのがエンタルピー。
エンタルピーの定義は
H = ΔU + PV
で与えられることは上述した。U,P,Vは状態量なので、Hも状態量となる。
また、エンタルピーの変分は仕事に等しくなる。すなわち
W = ΔH = H(T', V') - H(T, V)
だ。証明はここでは割愛させていただく。
これを用いれば
このように定義できる。めでたしめでたし。
正直怪しいのでツッコミ待ちなのです…