ゲーデルの不完全定理

最近読んでる本を紹介します。

不完全性定理とはなにか (ブルーバックス)

不完全性定理とはなにか (ブルーバックス)

竹内薫ブルーバックスの『不完全性定理とは何か』です。
高校の頃から竹内薫氏のブルーバックスはとても読みやすく、結構な頻度で読んでいました。
GWのときに書店で見ていたら、新刊で出ていたので何も考えずに購入しました。

内容はタイトル通り不完全性定理
授業でも記号論理学をとっていたりしたので、とても興味深く読み進められました。
主な柱は不完全性定理の柱を理解すること。
そのために、ゲーデルの記号論理を用いた証明と、チューリングの計算機理論を用いた証明に触れます。
同じ内容でも多角的な捉え方をすることで類似点が見えたり、またその本質により迫ることができると思います。
一つの説明で納得がいかなくても、いくつかの説明を聞いていると今までわからなかった説明もわかるようになります。
何より、テンポよく読める。
本質的な内容と、雑談もしくは小説的な部分がいい感じに配置されていて、途中で読むのを断念させないのが竹内薫のよいところだと思います。
勿論、より専門的な内容を理解するにはハードカバーの専門書が必須なのでしょうが、一般教養プラスαのレベルの知識を持つには十分すぎるでしょう。

そもそも不完全性定理とは何なのか。それだけ触れておきたいと思います。

不完全定理とは、「数学は完全性を持っているのか」、つまり、あらゆる命題の真偽を定められるのか、という考えから至った結論です。
これは、数学自体について数学する、メタ数学(超数学)と言われるものです。
結論から言ってしまえば、不完全の名の通り、数学では真偽の定められない命題が存在するのです。
その過程で、メタ数学を行うためにゲーデルが導入したのがゲーデル数。
数学自体を'数で扱う'ための道具です。
個人的には、ゲーデル数がいちばん面白かった。
数学を数学するためには、文字通り数で数学を扱えばいいはずなのに、その発想はなかった。
つくづく先人の考えることには低頭してしまいます。