新年の挨拶と元日の出来事

2015年あけましておめでとうございます。去年は年が暮れるにつれて忙しくなってしまい、更新する時間を確保できませんでした。
ネタとしては「MuseScoreのxmlファイルを解析する」だとか「Haskell初心者が基本データ構造を書いてみた」だとかあったんですが。


さて、新年一発目から笑い話が出来たのでここにご報告させていただきますね。
特に飲み会の席の多い大学生や若い社会人には是非とも読んでいただきたい内容です。

背景

元日から高校の先輩2人とお食事する機会がありましたので、元日の夜は歌舞伎町の居酒屋でわいわいおつまみとか頂いていたわけですね。
いかんせん顔を合わせるのが半年かそれ以上振りだったので、他愛もない話に耽っておりました。
そんな感じで一次会終了。21:30。

「キャバクラとかガールズバーとか行かね?」

「新年早々かよwww」って感じでしたが、まあ一人だと行くこともなかろうし人生経験かなあと思いつつついていくことにしました。
そして15分くらい歌舞伎町を徘徊してキャッチに捕まられることに。
ぶっちゃけみんな持ち金は多くはなかったので、価格交渉の末8000円/hでドリンク込ということになったので、店へ行くことになりました。

キャバクラという空間に足を踏み入れたこともなかったのでそわそわしながら店に入り、席につくなり最初の一杯を注文してキャバ嬢がやってきてスタート。
僕はといえばいつも通りコミュ障なので、音楽の話になった瞬間しがみついて前半はひたすらコードについて語ったりしていました。
流石に後半戦ともなると最早ネタも尽き、振られた問いかけに対して応答するだけのオウムマシーンになってしまいました。
ちらっと腕時計を見ましたが、そもそも何時に店に入ったか覚えてないし「まあいいか…」という感じでその場に座ってました。
しばらくして先輩が勘定を呼んで、人生初のキャバクラ終了。
「慣れないけど基本的に話題はずっと振ってくれるからコミュ障にもやさしいなあ」とか考えながら会計に向かったところ…

30000円

お、おう…8000×3じゃなかったのか?ちょっと高くね?
まあでもなんか延長してた気がするしなあ。延長料金かー。

先輩「カード切れますか」
店員「カードだと手数料40%かかるので41万ですね」

ん?41万?

41万ってどういうことだ?えっと、あの、日本円?

「4、41万って、元の金額は」
「30万ですね」
一同(アーッ桁見間違えた!!!)

「え、ちょっと流石におかしくないですか」
「いや、当店としてはお客様にサービスを既に提供させていただきましたので」
「でも最初の人8000円で全部込みっていうことにしてくれたじゃないですか」
「最初の人って誰ですか?その人を連れてきてください」

はぁーーーーやられました!

「ちょっとそれは流石に聞いてないっす」
「とりあえずここじゃ埒が明かないので歌舞伎町交番まで行きましょう」

しかし相手はプロ。警察に持ち寄ったところで「ハイ、チャラです!」というわけにはいかないのをよく承知している。

警察「とりあえず払える額をお店側に提示して、それで折り合いをつけてください」

「これだけしか持ち金ないんです」
「後日請求でもいいんで、その場合は名前住所連絡先お願いしますね」
「いや学生だし流石にこの金額は無理っす…」
「それでもいいですけど、その場合は弁護士呼んで裁判ってことになりますね」

これは万事休すだ…

(というか世の中の弁護士はこんなくっだらないことで呼ばれてるのかと考えるとなんとも言えない気持ちになった)

カラクリ

ここまでだけだと、一方的に店側の理不尽のように見える。
がしかし、驚くべきかな、巧妙に法律や条例の穴をかいくぐっている。

値段について

なぜ24000円のつもりが41万になったのか?
伝票をよく見ると、8000円×3というのはSET、つまり僕らの飲み放題の分。
そこに

  • テーブルチャージ
  • キャバ嬢の頼んだドリンク
  • 延長料金
  • 手数料、TAX

等が諸々積み重なって、最後にカードの手数料が込まれて41万。なんと。

「おい最初のキャッチの奴を出せよ」

「それ本当にうちの従業員だったんですか?」
見事なまでの雲隠れ。ここまで鮮やかだと逆に清々しくなってくる。
ちなみに客引きに乗るのも罰則はないけれど違法とのことらしいです(従業員曰く)。ちょっとリファレンスは見つけられなかった。

「説明していないじゃないか」

「ぼったくり防止条例(正式名称: 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、略称: 風俗法)」によると

第十七条 風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その営業に係る料金で国家公安委員会規則で定める種類のものを、営業所において客に見やすいように表示しなければならない。

だそうです。
【参考】風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

「ちょちょちょ、そんな料金の説明受けてませんよ」
「いやちゃんとメニューを置かして頂いていましたので」
「見せてもらってない見せてもらってない」
「法律的にはうちらが見せるのは義務じゃないんですよね」

くぅ〜
しかもものの見事にあらゆるサービス・手数料がメニューに記されている。周到だ。

「延長のときになんでコールしてくれなかったのよ」

「でもお客さん女の子に『まだここに座っててもいい』って言われた時に拒否してませんでしたよね」
(誠にその通りでございます…)

とりあえずこんな感じで全く収拾つきません。流石はプロ。該当する法律・条例はきちんと抑えていて、こちらの抵抗は通用しません。

その後

@交番

まずは歌舞伎町交番の前で交渉すること1時間。

ちなみに元日にもかかわらず他にもう二組隣で言い争っていらっしゃる方がおられました。
寒いし埒も明かないしかつ暇だしTwitterしながら警察の方とついおしゃべりしてました。

僕「やっぱ普段からこういうのって結構いらっしゃるんですか」
警察「いや〜普段はこれの5倍はいますね」
僕「お、お疲れ様です…」
警察「特に金曜は凄いですね…」

本当に知らないで済むなら知らないまま人生を過ごしたい知見ばかり得られてしまう。

@コンビニ

流石に寒いので「ちょっと相談したい」ということでコンビニに入り作戦会議。
何でもいいから何かチャラにしてスルーする方法はないものかと必死にググるものの、明快な解決策は見つからず。
大体、当事者になって始めてわかるんだけれど、「ボラれても絶対に払ってはダメです」「自分の主張を強く」「法律の知識を持ち出せば相手が怯んでしまう」みたいな適当なことを書いてる記事の筆者は、大方どう見ても未経験者なんだよね。

結局

「元日だしATM閉まってるんっすよ」
「歌舞伎町のセブン銀行なら24時間365日開いてるんで最強っす」
「(こいつら流石だな…)」

〜〜〜〜セブン銀行〜〜〜〜

ATM「ゆうちょ銀行はこの時間はお取り扱いできません。お引き出しは午前6時30分より行えます。」
「ファーwww」

「こういうわけです」
「待ちますか」
「待ちましょうか」
「寒いっすね」
「うちの系列の店で朝まで暖まりますか」
(一同身構える笑)
「いやいやいや、流石にタダっすよwww」

かくして夜明けまで閉店後のキャバクラで従業員含めた男6人で談笑するという最高の新春を迎えたのである。

そして夜は更けゆく

潔く全てを悟って諦めると、逆に風俗の従業員ほど喋っていて面白い人はいないのである。
何せ頭の回転は速いわ、その上僕らが普段目にすることのない歌舞伎町の裏事情をあけっぴろげに語ってくれる。

「あんたは引っかかったことあんの」

「ありますありますw 今ではこの辺の店に入ったら絶対最初にメニューを確認しますね。うちもメニューをご覧になってからすぐにお帰りになられるお客さんもいらっしゃいます」
なるほど?ベテランは違うな?

「やっぱヤクザとかつるんでんの」

「これは脅迫と受け取って欲しくないんですけど、歌舞伎町には三筋くらいあるんですけどぶっちゃけうちは一番大きいっす」
「ヤクザって『いるべきだけど使うべきではない』よね」

「なんでこの業界に入ったの」

「いやー気づいたらいましたね。最初は企業就職してたんですけど、辞めて上京して現場仕事したら想像以上に手取り少なくてこれは自分アホだなと。それで手っ取り早く稼げる業界を探して辿り着いてました」

「ぶっちゃけ偽名でしょ」

「いや本名です(迫真)」←嘘だな…
実は最初警察に名乗ってた時に「偽名っぽいな…」と感じていたのが、後で仲間内で電話している時に普通に偽名だということがわかった。

「ぶっちゃけた話何個くらい偽名あったりするもんなんですか」
「というか同業者で話してても相手が最早偽名なのか本名なのかわかんないし、あだ名みたいな感覚っすね」
「自分の名前が偽名で使われてたら絶対嫌ですね(一同爆笑)」

そういうものなのか。

「もし仮に僕らがこのまま何事もなかったかのように帰ろうとしたらどうします」

「そりゃ捕まえますよ。でもやめといた方がいいっす。この辺りみんな同業者なんで、仮にその場を切り抜けたとしてもどこで捕まるかわかんないですよ」

その後、大学とか受験の話を色々してました。向こう側にとっても新鮮だったようで、「話めっちゃ面白いねw」と言ってましたしなかなかウケはよかったようですね。

仮眠

流石に皆さんおつかれでしたので、キャバクラで男6人で寝ました。

そして朝がやってきた

セブン銀行に再び赴き、お金をおろしてお支払いし、きちんと請求書も頂きました。
キャッシュでその場一括だったので、色々交渉して最終的には3割引くらいで収まりました(収まってはない)。
半年くらいかけて3人でうまく折半します(先輩にだいぶ助けてもらってます…ありがとうございます)。
ちなみに、ここでも2組くらいボラれてる風のお兄さん達を見かけました。朝早くからご苦労さまです。

「じゃあお兄さんたち大学頑張ってくださいね」
「僕らも出世してお金たまったら『あの時はありがとうございました!』っていうのを言いに行って、ついでにナチュラルに自動延長して全料金をキャッシュでサッと払いに行くんで〜」


かくして僕達の長い長い2015年の記念すべき1日目は終わったのである。
良い社会勉強になったし、歌舞伎町の裏事情について思う存分知ることもできたし、なかなか意義深かった新年一日目であった。ちょっと授業料は高かったかな。しばらくはバイト頑張りますね。
いかがであっただろうか。駄文にここまで目を通して頂いた読者のみなさんの参考になれば幸いである。
それでは

Happy New Year!!



追記

こんなブログ記事を紹介していただきました。やり取りもほぼ同じですし、面白いくらい状況が似ています。

歌舞伎町でボッタクリにあいました|水野敬也オフィシャルブログ「ウケる日記」Powered by Ameba

新年の抱負は「地球上のありとあらゆるマニュアル本を読破する」ことにしないといけなさそうですね……………