アルバム・オブ・ザ・イヤー 2016

こんにちは。今年も大晦日ですね。id:dmingnに触発されて僕も今年聴いたアルバムの中からオススメのアルバム・曲を書こうかなと思いました。

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彼と同じようにあくまで「僕が今年初めて聴いた」アルバムを紹介するので、必ずしも「今年出た新譜」であるとは限りません(むしろそうじゃない方が多い)。
ちなみに今年自分で購入したCDの枚数は36枚でした。一ヶ月に3枚のペースなので、まあ消化するにはそんなもんかなというペースだと思います。
第8位より上はすべて円盤で持ってるので、借りたい人は声かけてもらえればと。

第9位: THE COMPLETE HISTORIC MOCAMBO SESSION '54 -- Shotaro Moriyasu

一発目から2016年どころか62年前のアルバムで恐縮だが、このジャズ黎明期において日本のジャズシーンでこれだけのハードバップセッションがあったことに感銘を受けた。
ピアニスト守安祥太郎は33歳で夭折したそうで、現存する録音はこのアルバムしかないらしい。
廃盤になってて中古もコレクター価格でアホみたいに高く、どうにか入手したいがどうなることやら。
正直日本のジャズシーンにはほとんど興味が持てなかったが、来年は開拓してみようと思わせてくれた音源。

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第8位: NIHIL NOVI -- Marcus Strickland

久々にバスクラリネット奏者を見つけたことに歓喜していた。こういうR&Bっぽい方面でバスクラリネットが使われてるのが素直にウケた。
Tim Garlandに比べるとシンプルなバスクラリネットだと感じた(Tim Garlandは「バスクラリネットでテナーサックスを吹いている」)。

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Nihil Novi

Nihil Novi

第7位: Adlibs -- Christian Doepke

Christian Doepkeはオランダ出身(?)のピアニストらしく、僕は全然知らなかったのだが、パワフルなプレイがシンプルでいい。
特筆すべきはRick Margitzaのテナーサックス(むしろこれ目当てだったが)。Maria Schneider Orchestra以外で何をやってるのか詳しく知らなかったが、あれと同じようなエグみのある音が他でも聴けるとわかってよかった。Mariaの『Green Piece』にしろ、Rick Margitzaの奏でるマイナーコード一発のソロには異常な聴き応えがある。
それにしてもAvishai Cohen (b)のときもそうだったが、どうもC minor一発ものに魅了されてしまう傾向があるらしい。

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第6位: Point in Time -- Fred Hersch

1995年に録音され2014年にCD版がリマスターされた本作。トリオではM7の『Cat's Paws』のドラム・ピアノのソロバトルのキレに注目。
なんといってもフロントとして参加したDave DouglasとRich Perryが見もので、M6『Infant Eyes』のRich PerryはWayne Shorterを彷彿とさせる音色で傑作。

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ポイント・イン・タイム

ポイント・イン・タイム

第5位: Nearness -- Joshua Redman & Brad Mehldau

デュオ編成。普段はほとんど4〜6人の編成しか聴かないのだが、今年の10月に来日公演するとのことだったので聴いてみたらハマった。
トリオ、カルテットのときに比べて脱力しつつもエネルギーのあるJoshuaの新しい一面を垣間見た気がした。
MehldauのJoshuaへの絶妙な譲歩も見もの。

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第4位: ★ -- David Bowie

R.I.P.

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(ちなみに『★』はショパンのプレリュード作品番号28の4が元ネタになってると思うのだが全くソースがなく、僕の思い過ごしだろうか)

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第3位: Sunday Night at the Vanguard -- Fred Hersch

2016年の3月にVillage Vanguardで行われたライブの録音が8月に発売されたアルバム。
僕は11月にライブに行ったのだが、あまりに綺麗な音色と精緻なタッチで不覚にも泣きそうになった。
CDで聴くのもオススメだが、Herschほど生音を聴くべきなピアニストもいないと思うのでライブは非常にオススメ。

サンデイ・ナイト・アット・ザ・ヴァンガード [日本語帯/解説付] [輸入CD]

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第2位: Family First -- Mark Guiliana

去年のKendrick ScottにしろGuilianaにしろ、なんでドラマーのリーダー作ってこんなにメロディアスでカッコいいんだ。
どの曲も雌雄決し難いが、敢えてこれというならM4の『Long Branch』。4+4+4+3の15拍子の中で淀み無い「静」と「動」の世界観の対比が作り上げられていて感服。
テナーサックスのJason RigbyはNYCで活躍中のプレイヤーらしく、この作品に吹き込まれている音色とグルーブだけで一発で惚れた。
ちなみにM3は『2014』というタイトルだが、このアルバムが出たのは2015年で、僕が買ったのは2016年。

Family First[ボーナストラック収録・日本語解説つき]

Family First[ボーナストラック収録・日本語解説つき]

第1位: Beyond Now -- Donny McCaslin

オチが見えてたので語るべくもあらず、って感じだが。『★』の残したDavid Bowieの亡霊が犇めくのでカッコよくないわけがない。
『Family First』と含めてMark Guilianaのクールさが良い。スネアの音、盛り上げ方やフロントとのバランス、正確なドラミングの裏に時折見せるレイドバックがたまらない。
McCaslinとは年始にも一度NYCで本人と言葉を交わす機会があり、2017年も2月に来日するので非常に楽しみ。

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それでは2016年も残すところ12時間となりましたが、来年も良いお年を。