話がわかりやすい人、わかりにくい人

大学の授業を受けていていちばん高校と違うと感じるのは、教授の教え方の上手さが人によってかなり隔たりがあるということだ。
ある人の授業はものすごく面白くて未だに授業中に一睡も許さないのに、またある人の授業はまぶたの重さに耐えられない。

これはなぜなのだろうか。
単に僕が面白くないと感じているだけなのだろうか。
そうじゃない。実際、すごく眠い講義の扱っている題材自体は、僕が興味をもっている分野だ。
では、話が上手な人に比べて、教授の教え方のどこがいけないのか。
それを分析してみた。

話が下手な人

話が下手な教授に共通してみられるのは次の数点です。

  1. 学生が理解できるスピードを遥かに上回る高速授業
  2. レジュメ・板書が意味不明
  3. 話の筋道が見えない

それぞれを見ていきましょう。


学生が理解できるスピードを遥かに上回る高速授業

これは一番体感しやすいかと思われます。
自分がまだ内容を理解していないのに、次の内容を喋りだす。
しかし、まだ理解していない内容が気になる。

まだわかんないけど、後回しにして授業についていくか。
「あれ…でも今教授が喋ってるのは何のことなんだ…?」
〜GAME OVER〜

まさに負のスパイラル。

でも、これはいくつかの対処法があります。

ノートにとるのを後回しにする

だいたい、教授のお言葉の一つ一つをすべて漏らさず聞いて噛み砕けばわからないことはあまりないもの。
ついていけなくなる原因として、板書を必死で写そうとすることが挙げられます。
所謂「真面目系バカ」が陥るトラップ。
ならば、ちゃんと話を聞くのを最優先させて、板書は後でとりましょう。

けれど、実際問題板書だって永遠に残ってる訳じゃないです。
それに、教授だってたまに複数枚の黒板の書いてる順番を忘れて、黒板消し誤爆を起こすこともあります。
その対処法は次。

板書をとるのは最小限、基本は教科書orレジュメにメモ

僕は高校まで、「基本的に」板書はすべて無差別にメモる主義でした。
基本的にというのは、内職すると決めたら何も聞かず徹底的に内職していたということ
でも、実際同じ大学に受かった友人でもすごく効率よく勉強する人もいます。
そんな友人の使っていた技がこれ。
別段不思議な技でもないんだけど、小学校以来ノート完全主義に侵された身にとっては、慣れるまで意外と難しかったです。
ただ、一旦慣れてしまえば非常に効率よく講義が受けられます。
板書の必要な場所だけ適切に残せるし、さらには教授が滑らした大事な一言も残すことができます。
実際、多くの講義は教科書に沿って行われることが多いので、教科書に書き込みながら聞くというのは結構おすすめ。
教科書が汚れた分、講義を聞いた達成感も得られますw

そもそも

お前ら予習しろ

話を戻します。


板書・レジュメが意味不明

これは困る。なんせ、折角ノートを取ったはずなのに、解読不能。
あとでレジュメ見ればわかるだろうと思っていたのに理解不能。
(実際ほとんどの人はパワポの使い方がわかってないと思う。僕も含め)
教科書を読んでもわからない。さあピンチだ!

そう、文字情報化するのが下手な教授がちらほら散見されるのです。
板書については後述。次の話と関係があるので。
まずはレジュメについて。
レジュメは諸悪の根源な気がします。勿論、作り方がうまい人は講義の理解の手助けになります。
以下よくありがちな悪い例。

一枚のスライドに文字情報が多すぎ

一枚のスライドに「小説か!?」と思わせるような量の情報がつめこまれたスライド。
まず、一見して読む気が失せます。
レジュメで渡されます。小さくて読めません。
レジュメで渡されません。要点をメモするうちに次に飛ばされます。
そもそも、「一枚のスライドで伝えたいこと一つ」という原則があります。
その原則を完全に破ってるのでアウト。

意味不明な図

「この図…なんの図なんだ?」
「なんか小さな文字で説明書いてあるけど読めん」
「そもそも内容に関係なさそうなイラストがついてる」
ありがちです。
図はうまく使えば理解の助けになりますが、その真意が把握できないと迷宮入り。まさに諸刃の剣。
図はその意味を把握するために、話を良く聞く必要があります。
また、話す方もその図の意味についてしっかりと説明し、もしくは注釈を簡明につける必要があります。

突然話題が変わった。どうつながってんのよ?

これは次の話への前座です。先へお進みください。

その前に、一冊本を紹介しておきたいと思います。
最近書店で見かけたブルーバックスの新刊で、パワポでやるべきこととやるべきでないことをまとめてあります。
僕は買ってないのですが、ぱらぱらとめくってみた感じ、フルカラーでオムニバス形式っぽくて、なかなかわかりやすいと思います。
プレゼンする機会が増えてきたと思ったら、一読してみるのもいかがでしょうか。

研究発表のためのスライドデザイン (ブルーバックス)

研究発表のためのスライドデザイン (ブルーバックス)

では最後へ続きます。


話の筋道が見えない

これが話をする側の最大の問題かと思います。
話の筋道が見えない。もっと具体的に言えば、今話してることでつまり何がいいたいかわからないということです。
板書やレジュメでもありがち。「ここの部分、つまり何が言いたいの…?」

なぜそんな状態に陥るのか。
一つにはあなたがちゃんと話を聞いていなかったことがあります。それを言っちゃ身も蓋もないですが。
でも、話す側もしっかりと話の筋道を提示すべきなのです。
そのために必要なのが、目次あるいは見出しです。
わかりやすい話をする人は、最初にこれから何をどういう順番で話すかを提示します。
文字情報ではこれが目次に対応します。プリントやレジュメでも最初の方に目次を提示するだけでわかりやすさはグッとアップ。
そして、話題が移り変わるときに、次に移る話題の大枠を提示します。
これが文字情報で見出しに対応します。
これから話す話の大まかな流れを始めに把握していれば、今がだいたいどのあたりの話をしているかわかるのです。
地図をもって渋谷から後楽園まで歩くのと、持たずに放浪するのではだいぶスピードも安心感も違いますね(場所には特に意味はない)。

要するに、聞く側は話の流れを予め把握することが肝要なのです。
そのためにするのが予習であるはずですし、また板書をとるのに必死にならずに話を聞くことで話の流れを把握すべきなのだと思います。


まとめ

今日は、講義を聞く側からわかりにくい話についてまとめてみました。
でも、これは逆に自分が話を聞く態度を見つめ直すきっかけにもなったと思います。
わかりにくい話はしょうがないですが、それをわかろうとするかどうかは自分の問題です。
そして、わかるためには「効率の良いわかり方」もあるわけです。
そういった自分なりの方法を確立させることが、他人の話を瞬時に理解するための近道ですし、何より自分も他人にわかりやすい話を提示するための準備といえないでしょうか。